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父親系 [2021/02/18 16:16] moepapa 作成 |
父親系 [2021/02/18 16:25] (現在) moepapa |
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+ | 俺の母親は、俺が2歳の時にがんで死んだそうだ。 | ||
+ | まだ物心つく前のことだから、当時はあまり寂しいなんていう感情もあまりわかなかった。 | ||
+ | この手の話でよくあるような、「母親がいない事を理由にいじめられる」なんて事も全然なくて、 | ||
+ | 良い友達に恵まれて、それなりに充実した少年時代だったと思う。 | ||
+ | こんな風に片親なのに人並み以上に楽しく毎日を送れていたのは、 | ||
+ | やはり他ならぬ父の頑張りがあったからだと今も思う。 | ||
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+ | あれは俺が小学校に入学してすぐにあった、父母同伴の遠足から帰ってきたときのこと。 | ||
+ | 父は仕事で忙しいことがわかっていたので、一緒に来られないことを憎んだりはしなかった。 | ||
+ | 一人お弁当を食べる俺を、友達のY君とそのお母さんが一緒に食べようって誘ってくれて、寂しくもなかった。 | ||
+ | でもなんとなく、Y君のお弁当に入っていた星形のにんじんがなぜだかとっても羨ましくなって、 | ||
+ | その日仕事から帰ったばかりの父に「僕のお弁当のにんじんも星の形がいい」ってお願いしたんだ。 | ||
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+ | 当時の俺はガキなりにも母親がいないという家庭環境に気を使ったりしてて、 | ||
+ | 「何でうちにはお母さんがいないの」なんてことも父には一度だって聞いたことがなかった。 | ||
+ | 星の形のにんじんだって、ただ単純にかっこいいからって、羨ましかっただけだったんだ。 | ||
+ | でも父にはそれが、母親がいない俺が一生懸命文句を言っているみたいに見えて、とても悲しかったらしい。 | ||
+ | 突然俺をかき抱いて「ごめんな、ごめんな」って言ってわんわん泣いたんだ。 | ||
+ | いつも厳しくって、何かいたずらをしようものなら遠慮なくゲンコツを落としてきた父の泣き顔を見たのはそれがはじめて。 | ||
+ | 同時に何で親父が泣いてるかわかっちゃって、俺も悲しくなって台所で男二人抱き合ってわんわん泣いたっけ。 | ||
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+ | それからというもの、俺の弁当に入ってるにんじんは、ずっと星の形をしてた。 | ||
+ | 高校になってもそれは続いて、いい加減恥ずかしくなってきて「もういいよ」なんて俺が言っても、 | ||
+ | 「お前だってそれを見るたび恥ずかしい過去を思い出せるだろ」って冗談めかして笑ったっけ。 | ||
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+ | そんな父も、今年結婚をした。相手は俺が羨ましくなるくらい気立てのいい女性だ。 | ||
+ | 結婚式のスピーチの時、俺が「星の形のにんじん」の話をしたとき、親父は人前だってのに、またわんわん泣いた。 | ||
+ | でもそんな親父よりも、再婚相手の女の人のほうがもらい泣きしてもっとわんわん泣いてたっけ。 | ||
+ | 良い相手を見つけられて、ほんとうに良かったね。 | ||
+ | 心からおめでとう。そしてありがとう、お父さん。 | ||
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+ | とても好きだったんだけれど、 | ||
+ | おっとりした人で、 | ||
+ | 神経質な私をいらいらさせることもあった。 | ||
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+ | でも夫は、仕事のことで不機嫌になり、 | ||
+ | なにも悪くない夫のことを | ||
+ | 私が邪険に取り扱っているときでも、 | ||
+ | いつも私のことを気遣ってくれる人だった。 | ||
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+ | 私が体調悪いときは、 | ||
+ | 仕事を途中で抜け出して帰宅し、 | ||
+ | その後仕事に戻って徹夜するような、 | ||
+ | 自分がどんなに無理しても | ||
+ | 私の面倒を見てくれる人だった。 | ||
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+ | 夫婦の家事分担は、 | ||
+ | 私も仕事を持っていたので、 | ||
+ | 食事・洗濯等は私がやる代わりに、 | ||
+ | 使用した食器の洗浄は | ||
+ | 夫の担当ということになっていた。 | ||
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+ | 当時夫は、連日日が替わってから | ||
+ | 家に帰るほどの激務が, | ||
+ | でも文句も言わず、 | ||
+ | 深夜私が寝付いた後に帰宅して、 | ||
+ | 私が用意しておいた食事を食べ、 | ||
+ | 夜中に私の分も含めて | ||
+ | ちゃんと食器を洗ってくれていた。 | ||
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+ | そんなある朝、私が起きると、 | ||
+ | 台所に洗っていないままの食器が放置されていた。 | ||
+ | きれい好き、整理整頓好きだった私は、 | ||
+ | 我慢が出来ず、その後起きてきた夫をなじった。 | ||
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+ | 「ちゃんと洗っておくって約束したでしょ! | ||
+ | なんでやってないの!!」 | ||
+ | 夫は「ごめん、やるつもりだったんだよ。 | ||
+ | でももう3時前だったし、 | ||
+ | 疲れてベッドに横になってたら、 寝ちゃってて。」 | ||
+ | 「まだ時間あるから出勤前にやっておくよ」 | ||
+ | と謝ってきた。 | ||
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+ | 私は、「言い過ぎた!ごめん!」 | ||
+ | と思ったが、なぜか態度には出せず | ||
+ | 「私が帰る前にちゃんと洗っておいてね。 | ||
+ | でないともうご飯作ってあげないよ。」 | ||
+ | と言い放った。 | ||
+ | もちろん、冗談のつもりだった。 | ||
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+ | 夫は私よりも出勤時間が遅いので、 | ||
+ | 出勤する私をドアまで見送り、 | ||
+ | キスをするのが毎朝の習慣だったが、 | ||
+ | 私はキスをしたそうな夫を無視して、 | ||
+ | 「じゃあ、ちゃんと洗っておいてね」 | ||
+ | と言い捨てて出勤した。 | ||
+ | |||
+ | 夫はドアの向こうで、笑顔で、 | ||
+ | でもほんの少し悲しそうな表情で | ||
+ | 「わかったよ、気をつけてね。」 | ||
+ | と手を振っていた。 | ||
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+ | それが、生きている夫を見た最後だった。 | ||
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+ | その日の午後、会社に電話が入った。 | ||
+ | 夫が事故にあったという報せだった。 | ||
+ | 病院にかけつけたとき、 | ||
+ | すでに夫は、この世の人ではなかった・・・・。 | ||
+ | 冷え性の私の身体を、 | ||
+ | ベッドの中でいつもあっためてくれていた夫の手、 | ||
+ | その手を握り締めたが、とても冷たかった。 | ||
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+ | あまりのショックに何も考えられず、 | ||
+ | 呆然としたまま家に帰った。 | ||
+ | ふと台所を見ると、今朝洗ってなかった食器が、 | ||
+ | 綺麗に洗われて、水切りかごにならべられていた。 | ||
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+ | 涙があふれ出てきた。 | ||
+ | 最後に見たドアの向こうの夫の顔、 | ||
+ | そしてあの冷たい手。 | ||
+ | その二つだけを思い出しながら、 | ||
+ | 何時間も、何時間も、ひたすらすすり泣いた・・・・。 | ||
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うちの両親がそうだった。超ディープなネトゲのジャンキーさ。 | うちの両親がそうだった。超ディープなネトゲのジャンキーさ。 | ||
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現実の話がしたくてさあ それが悪いことかよ!? そう思う事が犯罪かよ!? | 現実の話がしたくてさあ それが悪いことかよ!? そう思う事が犯罪かよ!? | ||
だったら だったら人間全員犯罪者じゃねーか! | だったら だったら人間全員犯罪者じゃねーか! | ||
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+ | 4歳になる娘が、字を教えてほしいといってきたので、 | ||
+ | どうせすぐ飽きるだろうと思いつつも、毎晩教えていた。 | ||
+ | ある日、娘の通っている保育園の先生から電話があった。 | ||
+ | 「○○ちゃんから、神様に手紙を届けてほしいって言われたんです」 | ||
+ | こっそりと中を読んでみたら、 | ||
+ | 「いいこにするので、ぱぱをかえしてください。おねがいします」 | ||
+ | と書いてあったそうだ。 | ||
+ | 旦那は去年、交通事故で他界した。 | ||
+ | 字を覚えたかったのは、神様に手紙を書くためだったんだ・・・ | ||
+ | 受話器を持ったまま、私も先生も泣いてしまった。 | ||
+ | 「もう少ししたら、パパ戻って来るんだよ~」 | ||
+ | 最近、娘が明るい声を出す意味がこれでやっとつながった。 | ||
+ | 娘の心と、写真にしか残っていない旦那を思って涙が止まらない。 | ||
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+ | 俺が小さい頃に撮った家族写真が一枚ある。 | ||
+ | 見た目普通の写真なんだけど、実はその時父が難病(失念)を宣告されていて | ||
+ | それほど持たないだろうと言われ、入院前に今生最後の写真はせめて家族と・・・と撮った | ||
+ | 写真らしかった。俺と妹はまだそれを理解できずに無邪気に笑って写っているんだが、 | ||
+ | 母と祖父、祖母は心なしか固いというか思い詰めた表情で写っている。 | ||
+ | 当の父はというと、どっしりと腹をくくったと言う感じで、とても穏やかな表情だった。 | ||
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+ | 母がその写真を病床の父に持って行ったんだが、その写真を見せられた父は | ||
+ | 特に興味も示さない様子で「その辺に置いといてくれ、気が向いたら見るから」と | ||
+ | ぶっきらぼうだったらしい。母も、それが父にとって最後の写真と言う事で、 | ||
+ | 見たがらないものをあまり 無理強いするのもよくないと思って、 | ||
+ | そのままベッドのそばに適当にしまっておいた。 | ||
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+ | しばらくして父が逝き、病院から荷物を引き揚げる時に改めて見つけたその写真は、 | ||
+ | まるで大昔からあったようなボロボロさで、家族が写っている部分には | ||
+ | 父の指紋がびっしり付いていた。 | ||
+ | 普段もとても物静かで、宣告された時も見た目普段と変わらずに平常だった父だが、 | ||
+ | 人目のない時、病床でこの写真をどういう気持ちで見ていたんだろうか。 | ||
+ | 今、お盆になると、その写真を見ながら父の思い出話に華が咲く。 | ||
+ | 祖父、祖母、母、妹、俺・・・。 | ||
+ | その写真の裏側には、もう文字もあまり書けない状態で一生懸命書いたのだろう、 | ||
+ | 崩れた文字ながら、「本当にありがとう」とサインペンで書いてあった。 | ||
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+ | 一時間に一本くらいしか電車が通らない田舎に、 | ||
+ | 5才くらいの子供とその両親が旅行にきていた。 | ||
+ | ダイヤの関係で、ある駅で電車が3分ほど止まってた。 | ||
+ | お父さんはお母さんと子供を車内に残して、ホームに出て写真を撮り始めた。 | ||
+ | すると電車がすぐに出発してしまうと思った子供が、 | ||
+ | 「お父さんが置いてかれちゃう!」って泣き出した。 | ||
+ | お母さんがなだめるも、泣き止まない子供。 | ||
+ | 「お父さん! 早く乗って! 置いてかれちゃう! お父さぃやぁぁぁ!!」 | ||
+ | 周りの客がそれ見て、優しい子供だなぁとか言って笑ってた。 | ||
+ | 久しぶりにいいものを見た。 | ||
+ | お父さんは置いてかれた。 |