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母親系 [2020/11/24 08:02] moepapa |
母親系 [2021/08/19 04:36] (現在) moepapa |
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====== 母親系 ====== | ====== 母親系 ====== | ||
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+ | 私が8歳で、弟が5歳の頃の話です。 | ||
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+ | 当時、母が病気で入院してしまい、父は単身赴任中であることから、 | ||
+ | 私達は祖母(父方)の家に預けられておりました。 | ||
+ | 母や私達を嫌っていた祖母は、朝から夜遅くまで舞踊のお稽古に行き、 | ||
+ | 私達の世話は一切しませんでした。 | ||
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+ | そこで、私達はいつも近所に住むAさんという人のいいかたの家でご飯をいただいておりました。 | ||
+ | ある日、母が一日だけの許可をもらって退院してきました。 | ||
+ | 本当は体がとてもきつかっただろうに、母は甘えつく私達を何回も抱っこしてくれました。 | ||
+ | 夜は、三人で歌いながらハンバーグをこねて作りました。 | ||
+ | |||
+ | 「今日はお母さんが帰ってきたから、ご飯はお家で食べます!」 | ||
+ | Aさんの家に挨拶に行った時の弟の、何か誇らしげな表情を見て嬉しくなった私は、 | ||
+ | その紅潮した頬っぺたに何度も自分の頬っぺたを擦りつけて家に帰りました。 | ||
+ | |||
+ | 家に着くと、既に料理が食卓に並べられていた。母は暖かい牛乳を差し出して、 | ||
+ | 「おばあちゃんが帰ってきたから、ちょっと待っていてね。みんなで食べようね。」 | ||
+ | と言った。私達がAさんの家に行っている間に帰ってきたようだ。しばらくすると、 | ||
+ | 着物から着替えてきた祖母が台所に入ってきた。 | ||
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+ | 「お義母さん、お食事の用意できていますので、どうぞお掛けになってください。」 | ||
+ | その母の言葉を遮るように祖母は、 | ||
+ | 「病人の作ったものが食べられますか!何が感染するかわからないのに…」と言って、 | ||
+ | 母の作った料理を全て残飯の入ったごみ袋の中に捨てていきました。 | ||
+ | 「も、申し訳ありません…」 | ||
+ | さっきまでニコニコしていた母の顔から一気に血の気が引いていきました。 | ||
+ | 私は(どうしよう!どうしよう!)とただただ混乱していました。 | ||
+ | |||
+ | 「バカヤロウ!」 | ||
+ | 突然、弟が叫んで、祖母からごみ袋をひったくりました。 | ||
+ | 仁王立ちになった弟は、祖母をにらみつけながら、 | ||
+ | ごみ袋から母の作ったご飯を手ですくって食べ始めました。 | ||
+ | 「俺はなぁ… 俺はなぁ…」 | ||
+ | 後の言葉が出てこずに、目から涙をボロボロとこぼしながら、弟は食べました。 | ||
+ | 小さな肩を震わせて、必死に強がって… | ||
+ | そんな弟を見て、私も大泣きしながらごみ袋からハンバーグを掴み取って食べました。 | ||
+ | 「もう、いいのよ。やめて。二人とも。いいのよ。お願いだから…」 | ||
+ | 泣きながら止める母の声も無視して、私達はむさぼり続けました。 | ||
+ | これが私達姉弟の、母の最後の味。悲しさと悔しさの恨みの味… | ||
+ | |||
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+ | あの日俺が楽しみにとってあったアイスクリームを、母が弟に食べさせてしまった | ||
+ | 学校から帰り、冷凍庫を開け、アイスを探したが見つからなかった | ||
+ | 母親に問い詰めると、弟が欲しがったのであげたと言った | ||
+ | その時楽しみにしていた俺は、すごく怒った | ||
+ | 母親に怒鳴り散らし、最後に「死ね!」と叫び、夕食も食べずに部屋に篭もった | ||
+ | それから何時間か経った | ||
+ | 俺は寝てしまっていたようだ、が、父親が部屋に飛び込んで来たので目が覚めた | ||
+ | 「母さんが轢かれた・・・!」 | ||
+ | あの時の父親の顔と言葉を、俺は一生忘れないだろう | ||
+ | 俺達が病院に着いたとき、母親はどうしようもない状態だと言われた | ||
+ | 医者は最後に傍にいてあげて下さいと言い、部屋を出た | ||
+ | それから少しして、母親は息を引き取った | ||
+ | その後、母親があの時間外にいた事を父から聞いた | ||
+ | 買い物に行くと言って出て行き、その帰りに車に轢かれた事 | ||
+ | 現場のビニール袋の中には、アイスが一つだけ入っていた事 | ||
+ | 救急車の中でずっとごめんねと呟いていた事 | ||
+ | その時、俺のためにはアイスを買いに行って事故にあったとわかった | ||
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+ | 通夜と葬式の間中、俺はずっと泣いた | ||
+ | そして、今でもこの時期になると自然に涙が出てくることもある | ||
+ | 母さん、ごめんな | ||
+ | 俺が最後に死ねなんて言わなかったらと、今でも悔やみ続けている。 | ||
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サキちゃんのママは重い病気と闘っていたが、死期を悟ってパパを枕元に呼んだ。 | サキちゃんのママは重い病気と闘っていたが、死期を悟ってパパを枕元に呼んだ。 | ||
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母さん、ゴメンナサイ、アリガトウ。 | 母さん、ゴメンナサイ、アリガトウ。 | ||
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還暦を迎えた母に誕生日おめでとうメールを送った返信。 | 還暦を迎えた母に誕生日おめでとうメールを送った返信。 | ||
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「手の震えが止まらず上手く卵が焼けない」 日記はあの日で終わっていた。 | 「手の震えが止まらず上手く卵が焼けない」 日記はあの日で終わっていた。 | ||
後悔で涙がこぼれた | 後悔で涙がこぼれた | ||
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+ | 俺んち母子家庭で貧乏だったから、ファミコン買えなかったよ。。。 | ||
+ | すっげーうらやましかったな、持ってる奴が。 | ||
+ | 俺が小6のときにクラスの給食費が無くなった時なんて、 | ||
+ | 「ファミコン持ってない奴が怪しい」なんて、真っ先に疑われたっけ。 | ||
+ | 貧乏の家になんか生まれてこなきゃよかった!って悪態ついたときの | ||
+ | 母の悲しそうな目、今でも忘れないなぁ、、。 | ||
+ | どーしても欲しくって、中学の時に新聞配達して金貯めた。 | ||
+ | これでようやく遊べると思ったんだけど、ニチイのゲーム売り場の前まで来て買うのやめた。 | ||
+ | そのかわりに小3の妹にアシックスのジャージを買ってやった。 | ||
+ | いままで俺のお下がりを折って着ていたから。 | ||
+ | 母にはハンドクリーム買ってやった。 | ||
+ | いっつも手が荒れてたから。 | ||
+ | 去年俺は結婚したんだけど、 | ||
+ | 結婚式前日に母に大事そうに錆びた ハンドクリームの缶を見せられた。 | ||
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行 164: | 行 261: | ||
もう恩返しする事が出来ない・・・ | もう恩返しする事が出来ない・・・ | ||
涙がぶわっと溢れてきて止められなかった。 | 涙がぶわっと溢れてきて止められなかった。 | ||
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+ | 俺の母さんは、生まれつき両腕が不自由だった。 | ||
+ | なので料理は基本的に父が作っていた。 | ||
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+ | ただ、遠足などで弁当がいる時は、母さんが頑張って作ってくれていた。 | ||
+ | でも、小学校6年の時の遠足で、見た目が悪い母さんの弁当を見られるのが嫌で、とうとう「弁当はコンビニで買っていくから、この弁当はいらない!!」と言ってしまった。 | ||
+ | 母さんはそんな馬鹿な俺に、ただ、うまく作れなくてごめんねとしか言わなかった。 | ||
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+ | 時は過ぎ、小・中は給食だったのだが、高校になってからは給食はないのでいつも昼は購買のパンですませていた。 | ||
+ | しかし、高校2年になったある日、母さんが弁当を作ると言い出した。 | ||
+ | それは遠足の時に作ってくれたものとは、見た目も味も段違いに良くなっていた。 | ||
+ | 不自由な手で、一生懸命作ってくれたのだ。 | ||
+ | と、思ったのもつかの間。 肺炎で入院したかと思うとぽっくり逝ってしまった。 | ||
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+ | 弁当を作り始めてから3ヶ月しか経たない内に。 | ||
+ | 母さんが死んだ後、親父から聞いたのだが、どうやら母さんは俺の為に、定食屋をやっている知り合いの所に一年間料理を習いに行っていたらしい。 | ||
+ | |||
+ | そして後日、その定食屋に行って見た。 | ||
+ | 定食屋の人と俺は直接、関わりは無いけれど、優しそうな人だった。 | ||
+ | そして母がよく弁当に入れていたメニュー、ハンバーグ。それの定食を頼んだ。 | ||
+ | |||
+ | そして、それを口にしたとたん、ぼろぼろと涙がこぼれてきた。 | ||
+ | たった3ヶ月しか食べられなかったけど、たしかに母さんのハンバーグの味にそっくりなのだ。 | ||
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+ | 腕がまともに動かせないのに、頑張って作ってくれた、あのハンバーグの味。 | ||
+ | 形は少し不細工だったけど、とても美味しかった、あの、ハンバーグの味。 | ||
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+ | 母が死んで今日で一年とちょっと。高齢出産だったこともあって、 | ||
+ | 俺の同年代の友達の親と比べると明らかに年くってた。 | ||
+ | 俺が「なんでもっと若く生んでくれなかったの!?」と責めたこともあった。 | ||
+ | 俺が思春期のころとにかく心配性な母がうざいのと、親父には恐くて | ||
+ | 何も言えなかったから何でもかんでも | ||
+ | 母に当たってた。たくさん文句言って寝ようと自分の部屋に入ったとき | ||
+ | 母のすすり泣く声が聞こえたときは自分の不甲斐なさに気付き俺も泣いた。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | お母さんが死ぬ時っていつか来るってわかってた。 | ||
+ | でも気付いてからは遅いんだよね。そんな俺も今年で23才になる。 | ||
+ | 20才を迎えたくらいから親孝行したいなって思って | ||
+ | 高齢出産だった母に孫の顔を見せてあげたいなって思ってた。 | ||
+ | それで、先月生理来ない彼女が病院行ったら子供が出来てたよ。お母さん。 | ||
+ | 無事に生まれてくれたらいいな。 | ||
+ | 俺を生んでくれてありがとう。高齢出産だったから辛かったろう。 | ||
+ | でも孫の顔見せてあげたかったな。抱かせてあげたかったな。 | ||
+ | でももうお母さんの笑顔見れないんだよね。あの笑い声ももう聞けないんだよね。 | ||
+ | でも俺少しは一人前の大人になったよ。学歴も無いし給料安いけど | ||
+ | ついに家庭を持つよ。こんな幸せなことってなかなか無いよね。 | ||
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+ | 俺の子供にはお母さんからもらった優しさを少しでも分けてあげたい。 | ||
+ | 休みの日は子供といっぱい遊ぶ。俺が小さい頃のお母さんよりは | ||
+ | 動けると思うよ。なんたってまだ俺若いからね。 | ||
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+ | お母さんが死ぬ前日に俺に言った言葉。 | ||
+ | 「今日はお風呂入ってもう寝なさい」 | ||
+ | あの時寝なきゃ良かったな。今でも思うよ。一晩中話しとけば良かったよ。 | ||
+ | なんで死んじゃうんだよ。お母さん。もっといっぱい甘えとけば良かった。 | ||
+ | もっといっぱい話したかった。旅行に連れて行ってあげたかった。 | ||
+ | それで美味しい物いっぱい食べさせてあげたかった。 | ||
+ | 次の日冷たい体に抱きしめても、声かけても何も返って来なかったよ。 | ||
+ | お母さん、天国から俺の事見える? | ||
+ | 俺の事もう心配しなくていいからね。子供の名前何にしようかな。 | ||
+ | お母さんだったらどうする?明日仕事休みだから彼女とお墓参り行くよ。 | ||
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+ | 最後に生きてるとき言いたかったけど言えなかった言葉。 | ||
+ | 「お母さん、生んでくれてありがとう」 | ||
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+ | 2006年2月1日、京都市伏見区の桂川の遊歩道で、区内の無職の長男(事件当時54歳)が、認知症の母親(86歳)の首を絞めて殺害、自身も死のうとしたが未遂に終わった「京都・伏見認知症母殺害心中未遂事件」をご存じだろうか。 | ||
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+ | それから約10年後の2015年。毎日新聞大阪社会部の記者が、介護殺人に関するシリーズ記事の一環としてこの長男への取材を試みた。しかし弁護にあたった弁護士も行方を知らず、数少ない親族を探し出して訪ねると、彼はすでに亡き人になっていた。 | ||
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+ | 事件の後の足跡について親族は口が重く、なぜ亡くなったのかも不明のまま。行き詰った末に探し当てた長男の知人という人に彼の死を告げると、絶句して、判決後に長男が落ち着いた先の住所を告げた。 | ||
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+ | やがて判明した死因は自殺だった。 | ||
+ | 琵琶湖大橋から身を投げたという。所持金は数百円。「一緒に焼いて欲しい」というメモを添えた母親と自分のへその緒が、身につけていた小さなポーチから見つかった。 | ||
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+ | 漏れが就職して初めてのボーナスが出た日、職場の皆で呑みに行った。 | ||
+ | ベロベロに酔っ払って、ゲーセンは行ったらケーキの形したぬいぐるみのUFOキャッチャーがあった。 | ||
+ | 3000円ぐらい使って1コ取って、気になってた同僚の女の子にあげようと思ったら、「いらな~い」って言われた。 | ||
+ | どうしていいやらわからずに、とりあえずカバンに入れてそのまま持って帰った。 | ||
+ | ケーキのイチゴの部分を押すと、電子メロディで「ハッピーバースデー」の曲が流れた。 | ||
+ | ちょうど母親の誕生日が近かったので、それとなく「母ちゃん、これあげる」って渡した。 | ||
+ | 今まで誕生日プレゼントなんてあげたのは2、3回しかなかった。照れくさかったから。 | ||
+ | 母親は驚いた顔をしつつ、ニコニコしながら受け取った。 | ||
+ | 「ここを押すとメロディが流れるから」って教えると、延々とハッピーバースデーを聴いていた。 | ||
+ | |||
+ | 2年後の母親の誕生日。 | ||
+ | 仕事がキツくて夜中まで働いた翌朝、起きる時間まであと20分あった。 | ||
+ | 朝の20分の睡眠時間は貴重だった。 | ||
+ | なのに、耳元で耳障りな電子音が聞こえてきた。 | ||
+ | 例のケーキのぬいぐるみだった。 | ||
+ | 母親が、 | ||
+ | 「メロディ止まらなくなっちゃったのよ、なんとかして」 | ||
+ | と言って立っていた。 | ||
+ | |||
+ | 「知らねーよ。眠いんだから出て行け」 | ||
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+ | と言ったら、母親はぬいぐるみを俺の枕元に置いていった。 | ||
+ | けたたましく鳴り響くハッピーバースデーのメロディに、漏れはブチ切れて | ||
+ | |||
+ | 「ふざけんなよ、うるせーんだよ!」 | ||
+ | |||
+ | といってぬいぐるみを廊下に叩きつけた。 | ||
+ | 唖然としてぬいぐるみを拾い上げる母親。 | ||
+ | メロディは鳴らなくなっていた。 | ||
+ | 母親がうっすらと涙を浮かべていたのに気が付いてはいたが、そのままベッドにもぐりこんだ。 | ||
+ | |||
+ | 朝食は無言のまま。バツが悪いのでさっさと出勤した。 | ||
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+ | それから母親がそのぬいぐるみの事を口にする事はなかった。 | ||
+ | でも、漏れは知っている。押入れのたんすの中にそっとしまわれている事を。 | ||
+ | もう8年ぐらい前の話だ。 | ||
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+ | 母親はまだ健在だが、どうしてもあの時自分がしてしまった事を後悔している。 | ||
+ | なんとか、あのぬいぐるみを直してやりたい。 | ||
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+ | 誰か、知らないだろうか? | ||
+ | ボタン電池ぐらいの大きさで、押すと電子メロディでハッピーバースデーが流れる小さな回路を。 | ||
+ | どこか売っていたら教えてくれ。頼むから… | ||
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+ | 火曜日に正社員の面接行ったのね。もうこれで20数社目。今まで全部駄目だった。 | ||
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+ | それで、その日は車でしか行けないところだったんで、母親が仕事を休んで付き添ってくれた。 | ||
+ | 駐車場の車内に母を待たせて面接してもらった。 | ||
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+ | 出てきたのは社長と人事課長。社長が絵に書いたような悪人顔でさ。 | ||
+ | 鼻くそほじりながら履歴書見て「職歴なし?あんたもう30だろ?」 | ||
+ | 「バイトなら経験あるっていったって職歴なしは職歴なしだろう?」 | ||
+ | 「うちでそんなの雇うわけないだろ?もう帰ってくれ。用はないだろ。終わり終わり」 | ||
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+ | 車に戻ると母は面接には触れず、「また明日から暑くなるんだって、今ラジオで行ってた」 | ||
+ | 「ごはん食べて帰ろうか」って。 | ||
+ | 無言のままうどん屋に入ってカツ丼食べた。 | ||
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+ | そしたら母親が「受かるといいねー」って言うからさ、俺答えに困っちゃってさ。 | ||
+ | で、いろんな言い訳考えた末に正直に「いや、駄目だったんだ、今日も」といった。 | ||
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+ | 母親、「また次も送っていくよ、カツ丼、あんまりおいしくなかったね」だってさ。 | ||
+ | 今頃になって泣けてきたよ。情けねーなー。就職してーなー。 | ||
+ | 今まで何やってたんだろうな、俺は。 | ||
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+ | [[介護]] | ||
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+ | [[プロ野球のチケット]] | ||
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[[俺の絵]] | [[俺の絵]] |