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恋人系 [2020/10/17 07:29] moepapa |
恋人系 [2021/08/19 04:29] (現在) moepapa |
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| + | 30 :名無しさん@ピンキー:2005/ | ||
| + | 10年ちょい前かな。学生の頃、ふとしたことで出会ったコに惚れて。 | ||
| + | しばらく付き合ったけど、学生の2人には1本の県境ですら遠くて。 | ||
| + | ある夏の日、兄に借りた車走らせて会いに行って少しドライブして、 | ||
| + | ゆっくり話そうと車を停めた海で、「もう会わないほうがいいと思う・・・」と言われた。 | ||
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| + | 近くの駅で降ろして、と、言われるまま駅で降ろして「じゃあ・・・」 | ||
| + | 彼女が改札を抜けたのを見てから俺はアクセルを踏んだ。 | ||
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| + | 31 :30:2005/ | ||
| + | ふと、「(やっぱこのまま帰れないよ俺・・・)」って思いが浮かんで、 | ||
| + | その途端タイヤ鳴らしてUターン、信号も守らないでもう一度駅に戻り、 | ||
| + | 車を停め駅まで走った。 | ||
| + | 恋愛に対して、あんなに形振り構わぬ行動した瞬間はなかったな。 | ||
| + | 入場券を買って、通路を走って、階段駆け上がって、ホームに着いたら | ||
| + | ちょうど電車のドアが閉まったところだった。 | ||
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| + | 俺は走ったよ。走って電車を追っかけた。もう、涙なんか浮かべちゃってさ。 | ||
| + | どこかで、俺一体何やってんだろって思いながらも必死で追った。 | ||
| + | でも、これでもう会えないんだって思うと切なくてさ。 | ||
| + | 32 :30:2005/ | ||
| + | 小さくなっていく電車が、涙でよく見えなかった。 | ||
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| + | そんなとき、遠く・・・いや、近くかな。 | ||
| + | 聞き慣れた声が俺を呼ぶのに気付いて。 | ||
| + | その声がした方を振り向くと、追いかけたはずのその人が笑ってた。 | ||
| + | 「何やってんのー?私こっちの電車だよー」 | ||
| + | 今まで張り詰めてた気持ちが全部一度に解けた感じがして、 | ||
| + | 笑いながら泣きながら、ごちゃごちゃの感情で反対のホームまで走った。 | ||
| + | 彼女も走ってきてくれた。笑ってたけど、ちょっと泣いてた。 | ||
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| + | 33 :30:2005/ | ||
| + | 抱き合って、やっぱまだ離れられないよって、泣いた。 | ||
| + | 二人して泣きながら、でもホーム間違えてるのカッコ悪いよなんて笑って。 | ||
| + | 結果的にもう一度付き合うことになったが、 | ||
| + | あの時、走ったホームを間違えてなかったら | ||
| + | シリアスすぎてこうはならなかったかもしれないなんて、いい笑い話になってた。 | ||
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| + | そしてそれから数ヵ月後の1月17日。 | ||
| + | 阪神地方を襲ったあの大きな地震で、彼女は帰らぬ人となった。 | ||
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| + | あれからもう10年過ぎて、俺も俺なりの人生見つけたけど、 | ||
| + | あの須磨駅であの人を追いかけたこと、今でも忘れられない。 | ||
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| + | 長々とスマンね。語りたかった。 | ||
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| 俺には可愛い彼女がいた | 俺には可愛い彼女がいた | ||